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自由なはずのキャンピングカーがなぜこうも不自由なんだろう?

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はじめに


先週(2016年6月3日)の拙エントリーは,400ほどのはてなブックマークコメントをいただきました.

browncapuchin.hatenablog.com


それらをざっと見たところ,ネガティブな意見が思ったほどなく,むしろマナー遵守派が多かったです.

しかしながら,拙エントリーが矛先ではあるけれど,まるでマナー遵守精神を揶揄するかのようなこんなツイートもありました.


また,こんなツイートも. 

八木さんはキャッシュでキャンピングカーを買えるのにもかかわらずホームレスと同等に扱われているようで・・・不憫です.

八木さんや高知のプロブロガーのことはさておき,記事を書いてからちょっとモヤモヤしておりました.

何にモヤモヤしていたかというと,何人かの方がすでにぶコメでご指摘なさっていらっしゃいますが,「本来自由なはずのキャンピングカーが日本ではなぜこうも不自由なのか?」ということについてです.「あなたのせいでしょ?」と言われかねませんが,マナー厳守はそもそも日本RV協会によるものですからキャンピングカーオーナーが守るのは筋.なお盗電は刑法245条に抵触するれっきとした犯罪です.

 

キャンピングカーが本来もっているはずの「自由」とは移動手段としての自由ではなく,宿泊場所の自由を意味すると思います.

 

www.sankei.com

マナーと交通法規を守ればキャンピングカーをどこに停めてどこに泊まろうと本来は「自由」のはず.

しかしながら,前記事にも書いた通り,生活インフラただ乗りしないで「宿泊」するなら,キャンピングカーが泊まれる所は限定されてしまいます.日本は広いようでいて狭い・・・

なぜキャンピングカーがこうも「不自由」な扱いをされるのでしょうか?
このことについて考えてみました.

 

キャンピングカー台数はとても少ない


その第一の理由はキャンピングカーが一般に普及していないからでしょう.

日本オートキャンプ協会HPに掲載されている『オートキャンプ白書2015』の「第4章」キャンピングカーが閲覧可能となっていました(http://www.autocamp.or.jp/uploads/2015/07/243f1c3f360abaabfabf2dfd8cea211c.pdf).

それによると,2014年のキャンピングカー台数は全国で11万3,003台(車検上は「キャンピング車」で登録されているとのこと).

ただし,別の報告では約89,800台とされています(http://news.4travel.jp/10333/).間をとってざっくり10万台としておきます.

2014年の乗用車(軽含む)の保有台数は6,005万1,338台(自動車検査登録情報協会:http://www.airia.or.jp/publish/statistics/ub83el00000000wo-att/hoyuudaisuusui.pdf).キャンピングカー総数10万台は,そのわずか0.16%にすぎません.ざっくりですが,キャンピングカーは乗用車1万台のうちたった16台だけということです.キャンピングカーオーナーの知り合いがいる方,いらっしゃいます?今のところ,私にはいません.


さて,駐車場は今や必要不可欠な社会インフラの一つですが,駐車場を整備する際はより多く普及している車種をベースに建設するのは当然でしょう.例えば,立体駐車場(自走式)の高さ制限は概ね2m〜2.5m(駐車場 - Wikipedia).キャンピングカーのベース車としてよく用いられるハイエース(2.29m)だと入れないケースも出てきます.

キャンピングカーの車種によっては車高が2.91mや2.54mのものがあるそうで,これだと完全にアウトです(http://rentacampingcar.jp/faq.html).そもそもキャンピングカーの利用を想定して立体駐車場を作っているわけではありません.

立体駐車場はあくまで一例ですが,キャンピングカー台数が少なければ,キャンピングカーオーナーが欲するスペックがあらかじめ備わっている施設など整備されないでしょう.このことは,「道の駅」のアウトラインに暗に示されています.

道の駅は,『長距離ドライブが増え、女性や高齢者のドライバーが増加するなかで、道路交通の円滑な「ながれ」を支えるため、一般道路にも安心して自由に立ち寄れ、利用できる快適な休憩のための「たまり」空間が求められています。(中略)道路利用者のための「休憩機能」、道路利用者や地域の方々のための「情報発信機能」、そして「道の駅」をきっかけに町と町とが手を結び活力ある地域づくりを共に行うための「地域の連携機能」、の3つの機能を併せ持つ休憩施設(出典:道路:道の駅案内 - 国土交通省)』です.

 

道の駅の機能の一つはあくまで「休憩」です.そもそも「宿泊」は想定外なのです.

道の駅におけるひどいマナーの事例


それにもかかわらず,日本RV協会による2016年の調査では,キャンピングカー利用時におけるGWの宿泊場所として道の駅を利用したいと考えている方が最多でした.

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(出典:http://www.jrva.com/jrvanews/detail.php?assoc_news_cd=35

 

しかしながら,当の本人ならぬ道の駅では休憩・仮眠ではなくて宿泊されることによって迷惑を被っているとのことです.道の駅の魅力を伝えることを目的の一つに発足した一般社団法人未知倶楽部による事例報告は非常に参考になりました.ちょっと長くなりますが引用します.

キャンピングカー増加の背景もあり、設備の充実したオートキャンプ場も増えています。キャンプのスタイルは変わり、食事と寝る場所を変えるだけの「家電持込」が当然となったようで、水道の他に「水洗トイレと電源」が必須と考えられているようです。

そうは言っても施設の数もまだ少なく不便な地域も多いでしょう。
ただ、キャンプ場まで行くのは面倒だし道の駅にはトイレや自販機もある。ついでに水も電気も自由に使わせろ、と次第に無理を言う人が出てくることになりがちです。

道の駅には水洗トイレは完備されています。しかし炊事場やテントを張ったり食事をする場所はありません。電源も作業用・業務用のコンセントしか設置していません。キャンプや停泊の利用を目的としていないからです。

道の駅は道路沿いで便利だから・・・は「キャンプ場へ行くのを面倒がる人」の勝手な言い分です。

 

繰り返しますが,道の駅は「キャンプや停泊の利用を目的としていない」のです.それにもかかわらず,キャンピングカー利用者として欲するスペックを要求する,つまり「無理を言う人」が出てきて,いろいろやらかすようです.

何でもあるに越したことはありませんが、設置費用や管理の問題は簡単ではありません。「有料でもいいから」と言う方もいますが「公的施設なら水や電気くらい無料にしろ」の声が勝るでしょう。残念ながら日本では水と電気のコスト意識が異常に低いのです。

昨年秋には道の駅裏手の登山者用水栓が開きっぱなしで何日も放置され、数十トンの水がムダに流されました。誰かがホースを勝手に繋ぎ洗車でもしたようです が、なんと蛇口を閉めずに立ち去ったようなのです。(オフシーズンのため発見が遅れた=水道料も膨大)登山者の喉を潤したり靴を洗うために設置した善意の水道ですが、とても残念です。

これはひどい・・・損害賠償請求ものです.

 

スタッフが帰った後に、トイレのコンセントにコードを繋ぎ投光器を点けバーベキューをしていたとの目撃情報もあります。電気の無断使用も困りますが駐車場で火を使うのは絶対に止めて欲しいのです。家族旅行は子供に社会のルールやマナーを教える場でもあると思っていますが、未だに「旅の恥はかき捨て」の親が多いようです。

駐車場の隅で何日か滞在する車も時折見かけますが、24時間開放している公的駐車場としては簡単に追い出すわけにもまいりません。私たちが帰る頃になると 駐車場で夜を明かす人達が行動を開始します。犬の散歩や晩御飯の支度。朝食とついでに洗濯も・・・。後に残るのは犬のフンとゴミ。夏が短く利用者の少ない 道の駅でもこんなことがよく起きます。(出典:道の駅|未知倶楽部| 機能充実の限界

盗電・駐車場内での火器使用・ゴミ投棄の3点セットです.これでは日本RV協会が公共駐車場でのマナー厳守10ヵ条をHPに記載せざるを得ないわけです.

 

www.jrva.com

道の駅はあくまで休憩・仮眠用の公共施設であって,宿泊施設ではありません.自己の欲求を満たすため度を超えたフリーダムを謳歌したがゆえに後に続く者たちが迷惑を被るという図式はありがちな光景です.

これが第二の理由.おそらくごく一部の方の仕業でしょうけれど,結局はキャンピングカー全体の社会的立場を悪くするマナー問題に行き着きます.

キャンピングカーと一般車の棲み分けがすすみ,キャンピングカーはますます自由を失う


利用者側の希薄な規範遵守意識運営側が被るの実害の落としどころとして,道の駅をRVパークにする動きが進んでいます.

RVパークとは,下記の条件を満たし,日本RV協会が認定したものです.

1.ゆったりとした駐車スペースで,一週間くらいの滞在が可能
2.24時間利用が可能なトイレ
3.100V電源が使用可能
4.入浴施設が近隣にあることが望ましい
5.ゴミ処理が可能
6.入退場制限が緩やか 予約が必須ではないこと
安心・快適な車中泊施設「RVパーク」|くるま旅公式WEBサイト

 

キャンピングカーは,装備によっては移動可能な家と言っても良いくらいです.ただし,通常の家には生活インフラが備わっていますが,キャンピングカーはそうじゃありません.そこで,生活インフラにかかる費用を支払い,「安心して」1週間程度の宿泊ができるのがRVパークです.

RVパークは少しずつ,着々と増えています.2016年1月〜6月だけでも11箇所新設されました(日本RV協会キャンピングカーニュース|一般社団法人日本RV協会).日本RV協会では将来的に1,000箇所まで増やしたいと考えているとのことです.でも,キャンピングカーの台数は全国で10万台程度.それぞれのRVパークで採算が合えばいいのですが・・・


キャンピングカー専用駐車施設が増えれば増えるほど,「キャンピングカーはオートキャンプ場,RVパークや湯YOUパークなどの専用駐車エリアへ」という流れが一般常識になるでしょう.そうなればなるほど,キャンピングカーは一層そこへと集約されます.それは,キャンピングカーとそれ以外の車との「棲み分け」が進むことを意味します.

生物の世界では,生息地を棲み分けている種同士が直接的に争うことは基本的にありません.RVパークが増えることによって,普通のクルマとキャンピングカーという,スペックも利用者の行動も異なる者同士が棲み分けられれば,クルマが「たまる」場としての公共駐車場の安寧は保たれることでしょう.

近い将来,キャンピングカーは自らのニッチ(注:すき間ではなく,生態学のニッチ)を獲得するようになるでしょう.それは,とりもなおさずニッチの外では基本的に活動(宿泊)しないことを意味します.

本来,キャンピングカーは「自由」にどこでも泊まれるクルマだったはずです.しかしながら,存在がマイナーなため一般交通インフラ整備の対象に含まれず,しかも一部キャンパーのマナーのせいで限られたニッチの中でしか泊まれなくなる「不自由」な乗り物になりつつあります.

キャンピングカーが本当に限られたニッチに押し込められてしまうかどうかは個々のオーナーがどう振る舞うか次第だと思います.

おわりに


八木さんには全国のキャンピングカー利用可能施設にいつでも行ける自由があります.行きたい施設を選択する自由だってあります.北海道に逃げるとか言わず,キャンパーのお手本としてRVパーク等の普及啓蒙活動に尽力なさることを期待します.

 

キャンピングカー生活に挫折した僕がキャンピングカー生活について記事にしたよ! | ATOMの日記。

ぼくの行い煽りですかね?w キャンピングカーの夏にビビってます。北海道に逃げれば大丈夫かな? /キャンピングカー生活に挫折した僕がキャンピングカー生活について記事にしたよ!

2016/06/04 21:14


なお,キャンピングカーはレジャー目的での使用以外に,震災時には非常に優れた宿泊兼移動手段となります.前記事のブックマークコメントに書きましたが,ボランティア活動の一環として熊本地震で被災した方のためにレンタルしてる事業者もいらっしゃることを伝えておきます.

熊本でのボランティアとキャンピングカー(1) - キャンピングカーで行こう! - 朝日新聞デジタル&M



ではまた!

【追記】「自由」のソースは?とのことですので記事中に追記しました.

キャンピングカー 「自由気まま」シニア層に魅力(1/3ページ) - 産経ニュース

 

【追記2】2016年10月3日.リンク貼りませんが,八木氏がたった4ヶ月でキャンピングカー生活をやめました.彼はペーパードライバー状態からいきなりキャンピングカーを購入.記事を読んだ限りでは,車を運転すること自体に不自由していたようです.