おまきざるの自由研究

好奇心の赴くままに

恩師が「東京は家賃高いから部屋にモノを増やすな」と言ってた話

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ミニマリストってなんだ?

筆者は大学を卒業してから数年間,関西のとある街で6畳1間の下宿に住んでいた.部屋なんて眠れればそれで十分だった.家賃は2万,風呂無し,トイレ共同,玄関も共同.部屋には前の主が置いていった冷蔵庫とテレビ(部屋のアンテナ線が途中で切られてたが).ガスストーブとテーブルはもらい物を使った.固定電話は当時の彼女(今の家人)がプレゼントしてくれた.

実家からは『大東京ビンボー生活マニュアル』全5巻と布団・毛布1組に寝袋,衣類と靴3足(1足は長靴),細々したものを送った.最低限の食器と調理道具(まな板も!),ガスコンロとカーテンは買った.冬は布団に寝袋を入れないと寒さに耐えられなかった.その部屋でつごう6年間過ごしたが,物はほとんど増やさなかった(本の置き場所は別にあった).今思えばあの頃の生活はほぼミニマリストだったのかもしれない.無論,カネがなかったのが最大の理由なのだが.

などと書いてみて気になった.ミニマリストの定義ってなんだ?

「ミニマリスト 定義」で検索したら断捨離したいくらい色んなのが出現.結局どれが定義なのかわからなかった.

だが,共通した行動傾向がたった一つ見つかった.モノを極力少なくすることだ.

ここでは,日頃モノを極力少なくして暮らす傾向にある人象徴してミニマリストと呼ぶことにする(あくまで象徴であることに注意してほしい).

ミニマリストはモノ最小化戦略を選択する

モノと暮らしの関係の極端なパターンはミニマリストとマキシマリストだろう.

家に入れる物を最少化するパターンすなわちモノ最小化戦略を選択するのがミニマリストならば,家に入れる物を最大化するパターンすなわちモノ最大化戦略を選択するのがモノを最大限に所有したい人すなわちマキシマリストと言えるだろう(見出しに「2つの戦略」と書いてしまったがここから先,マキシマリストについては割愛)

どんなモノであろうと3次元の物体であるならば,そのモノの分だけ家の中の空間の体積は減る.ただし,家の中の体積と言っても重力ペンキはまだ実用化されてないので壁や床を自在に利用できるわけじゃないので,家の中の空間の体積は普通に床面積としよう.

では,床面積が大きいところと小さいところのどちらがモノ最少化戦略の効果が高いだろうか?

もちろん床面積が小さいところ,すなわち狭い家だ.

ブロガーでミニマリストなら最低でもスマホかノートPCは所有しているだろう.スマホにせよノートPCにせよ,6畳1Kと20畳1Kではそれらが空間に占める割合はとうぜん違ってくる.つまり,モノ最少化戦略の効果は家の床面積によって変わる.

 

では,家賃によってはどうだろうか?床面積が同じ家なら,家賃が高いほうが家の広さの価値は上がる.家賃が高い場合のほうがモノ最少化戦略はより効果を発揮する.家賃によってもモノ最少化戦略の効果は変わるのだ.

したがって,「モノ最少化戦略の効果は家の広さと家賃によって変わる」といえる. 

日本で一番家賃が高い/一番狭い都道府県

日本で一番家賃が高い都市,それは東京都だ.民営賃貸住宅家賃ランキング一坪辺りの家賃は全国最高の¥9,059.最低に愛媛県¥3,271の3倍弱である.http://www.japan-now.com/article/188402533.html).ちなみに世界で最も家賃が高い都市はシンガポールで東京の1.68倍http://info-graphic.me/wp-content/uploads/2015/02/infographic72_rent-of-the-world.jpg).

 

次に,家の床面積でみてみよう.

借り家住宅延べ床面積の日本最低は,やっぱり東京都だ.

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http://uub.jp/pdr/h/home_8.html 

言うまでもなく,東京は日本で最も家賃が高い.したがって,日本で最も家が狭くて家賃が高い東京は,ミニマリストのパフォーマンスを引き出す国内最高の地となる.東京ではモノを増やさないほうがいいのだ.

なぜこんなことを書いたかというと,かれこれ20年以上前,筆者の恩師がこう言っていたからだ. 

「東京は家賃高いんだから,部屋にモノ増やしちゃダメなんだよね.一番値段高いのは家の空間なんだから.」

恩師が東京在住だった頃,ご家族が断りもなしに家具を増やすことに対して,本当に真剣に憤慨していたと言っておられた.

言動だけから判断するなら,恩師はミニマリストに該当してもおかしくない.だが,彼はミニマリストでもシンプルライフでも断捨離の人でもなかった.

モノとどう向き合うか?

動物は,自分が置かれた環境によって行動を選択したり意志決定を行う.それは人間も同じだろう.

筆者の恩師の場合,東京でもっともコストが高くつく「住空間」の価値が彼の行動選択・意思決定のキーとなっていた.

それならば,家賃が安くてそれなりに広い家の地域,例えば借り家の一畳当たり家賃が全国最低かつ床面積の広さ3位の青森県や,家賃下から4位で広さ2位の佐賀県なんかに住んでたら,家具が一つ二つ増えようが何も言わなかったに違いない.

だが恩師はそれだけの人ではなかった.恩師は自転車通勤をしており,彼自身は自動車を所有していなかった.また,市販の弁当を買うとどうしてもゴミが出ることについていつも本気で憂いていた.資源を無駄に消費することに対して常に批判的で,総じて合理的な考え方をする人だった.

 

「無駄に消費する」と書いたが,「利己的に消費する」と言い換えたほうがいいかもしれない.

モノに対する接し方は人それぞれだし,モノを消費することで世の中の経済は回ってる.だが地球の資源は有限であり,野放図に消費していればいつか必ず確実に枯渇する.そのときがくるのはいつなのかはわからない.だが,我々はその問題に直面する未来の子孫にきっと罵られるだろう.なぜもっと合理的に行動してくれなかったのか,こうなることはわかっていたはずなのに,と.



6畳一間古下宿での生活からすでに四半世紀がすぎた.だが,あのとき仙台の実家から送った『大東京ビンボー生活マニュアル』は東京の我が家の本棚に鎮座している.そしてモノ,とりわけ本は着実に増える一方だ.

結局,合理的な考え方など簡単には身につかないものだとつくづく思う.きっと恩師はあの世から「やれやれだぜ」とつぶやいてるに違いない・・・というのは言い過ぎか.だってマンガを読んでる姿なんて一度も見たことがなかったのだから.