おまきざるの自由研究

好奇心の赴くままに

規制緩和後,貸切バス業界はこう変わった【軽井沢スキーバス事故から3ヶ月経ちました】

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はじめに

2016年1月15日に起きた軽井沢スキーバス事故から昨日で3ヶ月でした.事故でお亡くなりになった若者たちとご遺族の方へ,謹んで哀悼の意を表します.

事故が起きてから節目の日だった昨日ですが,報道はほぼ熊本地震一色.拙ブログでも地震についての記事をアップしたため,1日ずれてしまいました.

このエントリーでは,貸切バス規制緩和後(平成12年2月,免許制から許可制に変更)にバス業界がどう変容したのかについて,業者数,車両数の2点に焦点を絞るとともに,事故を起こした会社のその後についてコンパクトにまとめました.

用いた資料は公益社団法人日本バス協会による『日本のバス事業2014年版(平成26年)』(http://www.bus.or.jp/about/pdf/h26_busjigyo.pdf)です.

より詳しいものは1月26日のこちらのエントリーです.事故ではうちの上の子と同じ年頃の学生さん達が犠牲になり,やり切れない思いを抱えながら書きました.

browncapuchin.hatenablog.com 

業者数の推移

業者数すなわち貸切バス事業者数の平成元年〜平成24年までの推移は以下の図の通りです.規制緩和後も増加しています.

規制緩和前年である平成11年の業者数が2,336だったのに対し,平成24年には4,536と1.94倍になりました.ただし,平成22年からは増加が頭打ちの傾向にあります.

 

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では,どのような業者が増えたのでしょうか?大手なのか中小なのかが気になるところです.

貸切バス事業者の規模の良い指標となるのがバス保有台数です.大手なら多くのバスを保有・運用して収益を得ます.一方,中小事業者にそれはできないでしょう.

貸切バス事業への新規参入の認可は9m以上の大型バスの場合は5台以上を保有あるいはリースなどの形式で保有することが条件の一つです(一般貸切旅客自動車運送事業の許可申請より.なお,小型バスの場合は3台でも良い).


一方,規制緩和前に事業免許を受ける際の最低車両数は,例えば東京23区内は10台でした(http://www.mlit.go.jp/common/001123780.pdf).

 

つまり,規制緩和によって,認可を受けるぎりぎりの台数しかバスを保有していない中小企業が多く参入するようになったのであれば,事業者あたりのバス保有台数は規制緩和後により少なくなっているはずです.


では,事業者当たり車両数の推移を見てみましょう.

事業者当たり車両数の推移

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平成元年から平成13年にかけて,事業者あたりバス保有台数はずって減っていました.大手企業が減ったいったことを示しています.

しかし,最も減ったのは平成11年の16.1台から平成12年の12.9台でした.

さらに,平成13年以後は,平成13年の12.1台が最も多く,その後は10〜11台とほぼ一定しています.

このことは,規制緩和後,貸切バス保有台数が少ない中小事事業者が相次いで参入したことを示唆しています.

また,平成19年以降は保有台数がとうとう11台を割り込みましたが,10台未満にはなっていません.事業者当たりのバス台数は,これ以上減らせないところまできているのかもしれません.
 

規制緩和前後での事業者数の差(平成24年と平成11年の差)は2,200です.
規制緩和前後でのバス保有台数の差は(平成24年と平成11年の差)は1万474台です.

バス保有台数の差を事業者数の差で割ると,4.7台です.
事業者数をざっくり2,000にすれば5.2台です.

上述したように,貸切バス事業への新規参入は9m以上の大型バス5台以上が条件の一つですので,全体の4割強を占める約2,000の新規参入事業者はバスを5台程度しか保有していないぎりぎりの業者なのかもしれません.

こう言っては酷かもしれませんが,乗客の安全な輸送を担うことのできない事業者には退場してもらうしかない・・・でしょう. 

軽井沢スキーバス事故を起こしたバス会社等のその後

軽井沢スキーバス事故については,ウィキペディアのページまで作られています(筆者が1月に記事を書いたときにはまだなかったと思いますが)

軽井沢スキーバス転落事故 - Wikipedia


それによると,事故を起こしたバス会社の「イーエスピー」が保有していたバスは7台.バス会社としては小規模事業者といえます.

それはさておき,事故に関わった会社のその後についてです.

・2016年2月19日付けで,国土交通省関東運輸局はバスを運行していたイーエスピーに対して事業許可の取消処分を行いました.

報道発表資料:株式会社イーエスピーに対する事業許可の取消処分について - 国土交通省

 

・2016年3月18日付けで,東京都は旅行を企画したキースツアーに対し,旅行業者の登録の取消処分及び業務停止処分を行いました.また,「キースツアーの企画に同乗軽井沢スキーバス転落事故 - Wikipedia」したフジメイトトラベルには54日間の業務停止を命じました.

旅行業者に対する行政処分について|東京都

 

これを受け,キースツアーは全ての営業を終了しました(スキー・スノボのキースツアー).

フジメイトトラベルは2016年5月11日まで新規予約受付を停止しています(フジメイトトラベル株式会社|毎年大人気の格安スキーツアー・スノボツアーや伊豆七島ツアーなど、お得な旅行情報掲載サイト).

 

事故の犠牲者の遺族は遺族会を結成しました.イーエスピーとキースツアーによる被害者説明会が4月27日に行われるとのことです.

mainichi.jp 

以上です.

 

なお,貸切バス事業者の新規参入数と廃止数は平成26年度に逆転しています.

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http://www.mlit.go.jp/common/001123780.pdf

 

ではまた・・・