読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

日本がもし100人の村だったら喫煙者は何人いて禁煙の飲食店は何軒あるのか?

【スポンサーリンク】

はじめに

2020年東京オリンピックを控え,健康増進法改正案をめぐる受動喫煙対策のニュースが連日報道されています. 

そんな中,日本禁煙学会からはタバコ業界からの政治献金の実態調査(第四報、2010〜2015年)が公表されるなど,喫煙への圧力は日々高まるばかり.

自分が小さかった頃を思い起こすと隔世の感があります.両親は喫煙してたし,父親が勤めてた会社の同僚も皆喫煙者(麻雀始まると臭いのなんのって).大家の爺さんも学校の先生も喫煙者.大人の男性が煙草を吸うのは当たり前でした.

交通機関もそう.当時の数少ない飛行機の記憶は紫煙でもうもうだった機内の情景しかありません.特急も新幹線も同様で入った途端気分が悪くなったり.

翻って今はどうでしょう? 

自分も含め仕事場にも家族にも喫煙者はゼロ.帰省でよく乗る東北新幹線は全車両禁煙.たまの旅行で乗る飛行機はもちろん禁煙.少なくとも自分の周りで煙草を吸う人は確実に減りました.

この記事では喫煙者数の変化について「日本がもし100人の村だったら」になぞらえてわかりやすい数にしてみました.

そして,禁煙の飲食店なんら分煙対策をとってない飲食店が今どれくらいあるのかについても推定してみました.ご笑覧いただければ幸いです.

喫煙人口は50年で半減した

日本がもし100人の村だったら喫煙者は何人になるでしょう?計算方法は後述[1].

◆学生服・セーラー服が0歳〜19歳の未成年=子ども,それ以外はすべて20歳以上の成年=大人を示します. 

◆大人のうち,喫煙者は煙草をふかすイラストで示しました.

結果は以下の通りです.

1965年(昭和40年)

f:id:browncapuchin:20170301054726p:plain

100人のうち
37人が子ども(未成年)です
63人が大人(成年)です

63人の大人のうち
30人が男性で
そのうち25人が喫煙者です

63人の大人のうち
33人が大人の女性で
そのうち5人が喫煙者です

かつて,100人の村には63人の大人がいて,30人の喫煙者がいたのです

2015年(平成27年)

f:id:browncapuchin:20170301060310p:plain

100人のうち
16人が子ども(未成年)です
84人が大人(成年)です

84人の大人のうち
40人が男性で
そのうち12人が喫煙者です

84人の大人のうち
44人が女性で
そのうち4人が喫煙者です

100人の村の大人は84人となり,そのうち喫煙者は16人しかいなくなったのです.

資料

用いた資料は次の3つ.JTのデータにない20歳未満は非喫煙者とみなしました.
①昭和40年国勢調査https://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/GL08020103.do?_toGL08020103_&tclassID=000001027290&cycleCode=0&requestSender=search
②平成27年国勢調査https://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/GL08020103.do?_toGL08020103_&tclassID=000001077438&cycleCode=0&requestSender=search
最新たばこ情報|統計情報|成人喫煙率(JT全国喫煙者率調査)

飲食店は非喫煙者と喫煙者のどっちを向いているのか?

100人の村の飲食店は ,84人の非喫煙者と16人の喫煙者,どちらの顔を向いて商売してるのでしょうか?

入手できた最新の統計によれば,日本での1人当たり飲食店数は0.0048軒(60万8825軒/1億2,709万4,745人)でした(資料④および②より)

これでは100人の村に0.48軒しかお店がないことになってしまいますので,この項では10000人の村にある48軒の飲食店,という前提で話を進めます.

飲食店48軒の業態による内訳は以下の通り[資料④および⑤p.22(1)]
A:食事中心
食堂・レストラン 4軒

料亭,日本料理,中華,焼肉等 14軒
そば・うどん店 3軒
すし店 2軒
ハンバーガー・お好み焼き・たこ焼き等 2軒

B:酒類中心

酒場・ビヤホール  9軒

バー・キャバレー・ナイトクラブ 8軒

C:どちらとも言えない

喫茶店 6軒

注:資料⑤によればCにおける分煙未対応は67.6%(p.22)であり,喫茶店におけるそれの70.0%(p.21)にほぼ相当するため,Cは喫茶店としてp.21(1)のクロス集計結果を用いた.


まとめるとこうなりました.
A=食堂・レストラン等を食事中心(25軒)
B=バー・居酒屋等酒類中心(17軒)
C=喫茶店(6軒)

禁煙の飲食店は何軒?

では,非喫煙者が安心して入店できる禁煙の飲食店は48軒中何軒なのでしょうか?

f:id:browncapuchin:20170306161805p:plain

禁煙の飲食店は
A:食堂・レストラン等25軒のうち5軒
B:バー等17軒のうち0.4軒
C:喫茶店6軒のうち1軒 
48軒中,たった6.4軒という結果になりました.

紫煙を一切気にせず,安心して入れるお店は1割ちょっと(13.3%)しかないのです.

なお,バーのうち禁煙にしてるのは5.6%,居酒屋は2.6%とのことです.

【スポンサーリンク】

 

分煙すらしてない飲食店は何軒?

一方,禁煙はおろか分煙すら未対応の飲食店数は以下の通り.

f:id:browncapuchin:20170306164446p:plain

 

A:食堂・レストラン等25軒のうち13軒が分煙未対応
B:バー:居酒屋等17軒のうち14軒が分煙未対応
C:喫茶店6軒のうち4軒が分煙未対応

分煙にまったく対応していない飲食店は48軒中31軒(64.5%)もありました.喫煙者の顔を向いて商売してる店が多数を占めている,ということですね.

資料

統計局ホームページ/平成24年経済センサス-活動調査 調査の結果(サービスB)
⑤本格的な分煙時代に対応した店づくり 分煙対策推進事業調査研究報告書(平成24年度)http://www.zeninren.or.jp/pdfdata/bunen13_hokoku.pdf

喫煙者の減少には外圧が影響した

1965年から50年経った2015年(平成27年) ,「100人」という相対値で見た場合,喫煙者は30人から16人に減りました.喫煙者人口がほぼ半減したのです.

喫煙者人口減に大きく寄与したのは言うまでもなく大人の男性.1965年に80%超だった成人男性喫煙率が50年後には30%ほどにまで減少しました.

この喫煙率の低下には外圧が一役買っていたようです.

大きな役割を果たしたのは1962年の英国王立内科医学会による「喫煙と健康」と1964年の米国公衆衛生長官の報告「喫煙と健康」のようですhttp://www.japan-who.or.jp/library/2009/book4104.pdf

これらを受け,日本での取り組みも始まりました.

日本でも1965年に全国の6府県29保健所管内の40歳以上の地域住民を対象に「喫煙と健康に関する追跡調査」が開始された。この調査でも喫煙者の方が非喫煙者に比べ喉頭がん、肺がん、口腔がん、食道がんなどの死亡率が高いことが示されている。1987年には厚生省の公衆衛生審議会が「喫煙と健康問題に関する報告書(たばこ白書)」を作成し、この報告書でたばこの有害性を明らかにしている。(たばこの歴史

 
日本での成人男性喫煙率は1966年の83.7%がピークだったものの,その後WHOによる①1970年総会における煙草と健康に関する初決議,②1975年専門委員会による「喫煙とその健康に及ぼす影響」,そして③1988年世界禁煙デー制定等が圧力となってか,年々漸減しています.

また,寝たばこが原因で大惨事となったホテル火災等も記憶にあると思いますが,防災の観点からも煙草への圧力は高まったようです.

そして健康増進法の改正へ

2002年の健康増進法第25条で受動喫煙防止について以下の通り定められています.

健康増進法 (2002年7月26日可決成立。8月2日公布。2003年5月1日施行。)
第五章第二節 受動喫煙の防止
第二十五条 学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、事務所、官公庁施設、飲食店その他の多数の者が利用する施設を管理する者は、これらを利用する者について、受動喫煙(室内又はこれに準ずる環境において、他人のたばこの煙を吸わされることをいう。)を防止するために必要な措置を講ずるように努めなければならない。(健康増進法第25条

 

25条については「名古屋市健康増進法第25条違反訴訟」において,「罰則はなくとも民事上の義務責任を負う」と解釈されてるとのことです(健康増進法第25条).

そして,今回の健康増進法改正原案によってこの部分すなわち罰則が強化されています.「義務や違反した者に対し、都道府県知事等は勧告や命令等を行い、違反し他場合には罰則(過料)を適用する」(http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000153429.pdf)のです.

改正原案の内容は以下の通り
過料は喫煙者本人に30万円以下,施設管理者には50万円以下
・小中高校・病院は敷地内禁煙
・大学・官公庁・福祉施設は建物内禁煙
飲食店等は喫煙室の設置可能な原則建物内禁煙,ただし病院や官公庁などでも喫煙室を設置済みの場合は一定基準を満たせば法施行後5年間存続を認める
例外とする小規模バー・スナック等の面積は30平方メートル以下
・シガーバーや煙草販売店の喫煙スペース,煙草の研究開発機関なども除外
・飲食店のテラス席やビアガーデンは屋外でも受動喫煙の可能性があるため禁煙

http://www.jiji.com/jc/article?k=2017030101227&g=eco

飲食店について言えば,5m四方程度の小規模バー・スナック以外の店は原則禁煙となるわけです.

ご存じの通り今回の改正はラグビーワールドカップと東京オリンピック開催というさらなる外圧を受けてのことですが,非喫煙者にとっては大きな前進といえます.

おわりに

分煙という言葉がメディアに初めて出たのは1985年の朝日新聞 とのこと(分煙 - Wikipedia).それから少しずつでも禁煙・分煙の店が増えてきました.

しかし,分煙してると言っても喫煙空間と禁煙空間がつながっていれば環境タバコ煙の侵入を防ぐのはむずかしいです.

私は時間とお金を使ってお店に入ったのに煙草の煙でイヤな思いをするのはまっぴらごめんですから,外食するときどの飲食店に入るかは味と価格以前に店が禁煙かどうかで決めることにしています(しかたないときは完全分煙でも入りますが)

でも,このエントリーで推定したところ,禁煙の飲食店は全体のせいぜい1割

食事中心の店に限っても半数以上が分煙未対応でした.完全分煙と禁煙を合わせても対応店はまだ26%にすぎません.今や喫煙者のほうが完全少数になったというのに,多数を占める非喫煙者のほうが数少ないお店から選ばざるをえないのが現状です.


分煙という言葉が登場してから30年以上の時を経て,味・価格・雰囲気等で飲食店を選べる時代が健康増進法改正のおかげでようやく訪れることは,福音以外のなにものでもありません.

f:id:browncapuchin:20170308063747p:plain

http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000153897.pdf

なお,健康増進法改正原案について大いに賛成する人は53.3%,やや賛成する人は19.7%であることを付け加えておきます(九州看護福祉大学プレスリリース2017年3月2日

願わくば,店内禁煙のみならず,店の入り口・路上等も含めて禁煙にしてほしいものです.日本はカリフォルニア州ベルモント市と違ってアパートやマンションの自室で喫煙しても罰則がないのですから.

ではまた!