おまきざるの自由研究

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君は初代アンパンマンを知ってるか?【それいけ!アンパンマンは3代目】

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「それいけ!アンパンマン」は3代目

「アンパンマン」を知らない日本人はそんなにいないと思います(ノーエビデンスですけど).

しかし,今の大多数の人が知っているアンパンマン=「それいけ!アンパンマン」は3代目です.


では初代アンパンマンはどんな姿だったのでしょうか?

その前に2代目アンパンマンをちょっと見てみましょう.

2代目アンパンマンは「あんぱんまん」

2代目アンパンマンは「あんぱんまん」でした.カタカナの「アンパンマン」ではなく,ひらがなの「あんぱんまん」です.


 「あんぱんまん(2代目)」の能力は空を飛ぶこと,そして顔(頭部パーツ)が食べられること.これらのスペックは3代目にも受け継がれています.

1973年フレーベル館版に描かれている2代目「あんぱんまん」の内容をちょっと紹介しましょう.

彼は,砂漠に取り残され,食べるものもなく途方にくれている人に自分の頭を食べさせます.
そして,一滴の水すら与えないばかりか,砂漠から連れ出すこともせず飛び去っていきます.

また,森でお腹をすかせていた少年を背中に乗せ少年を家まで送り届けます.道中,飛びながら残った頭を全て食べさせます.

頭部を失った「あんぱんまん」は少年の家から飛びさります.飛んでいった先は「ぱんこうばのおじさん」,つまり後のジャムおじさんのパン工場です.「ぱんつくりのおじさん」は新しい「かお」(頭部パーツ)を焼き上げ,あんぱんまんに乗っけます.

あんぱんまんは再び空へ飛び立ちます.お腹をすかせた人たちに自分の頭を食べさせるために・・・

この作品は,「当初評論家,保護者,教育関係者からはバッシングを受けた」そうです(やなせたかし - Wikipedia).

アンパンマンポータルサイトにさえ初代の記載はない

アンパンマンポータルサイトによれば,

アンパンマンの出発点は,絵本にあります.

1973年フレーベル館の幼稚園・保育園向けの月刊絵本「キンダーおはなしえほん」に,「あんぱんまん」というタイトルで初めて登場しました.
現在は,「アンパンマン」とカタカナで表記されていますが,はじめて絵本に登場したときはひらがなで「あんぱんまん」だったのです.

 

しかしながら・・・ポータルサイトでは初代アンパンマンについて触れられていません.

まるで黒歴史だったかのようです.

さらに言えば「やなせたかしプロフィール」のページでさえも初代には触れていません.版権でもめてるのでしょうか?(アンパンマンポータルサイトの運営は「有限責任事業組合アンパンマンデジタル」,組合員名はフレーベル館,株式会社トムス・エンタテイメント,日本テレビ放送網株式会社です).

 

では「初代アンパンマン」はどんな姿でどんな能力を有していたのでしょう?

初代アンパンマン

アンパンマンは1968年に雑誌「PHP」にて始まった1年間12編の短編小説の連載の一つとして1969年10月号で発表されました(アンパンマン - Wikipedia).1970年にサンリオ社から出版された「十二の真珠」という短編メルヘン集に収められています.


初代の姿は今のアンパンマンの面影があると言えばあるけれど,ないと言えばほとんどありません.かっこ悪いです.

しかしながら,やなせたかしさんは,二代目「あんぱんまん」でこう書いていらっしゃいます.

「ほんとうの正義というものは,けっしてかっこうのいいものではないし,そして,そのためにはかならず自分も深く傷つくものなのです」

 

その思いは,初代アンパンマンにすでに込められていたのでしょう.

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 (『十二の真珠』p.63より)

彼にできるのは空を飛ぶことアンパンをあげることだけ.

 

舞空術(!)自体はもちろんものすごい能力ではありますが,おなかに焼きたてのアンパンを仕込み,マントを纏っているのはただの太ったおじさん(おなか自体がアンパンの可能性もあるけど,何度読み返しても詳細不明).

彼の名を知るものは誰のひとりもいません.

へとへとにつかれたアンパンマンはある町の屋根の上でやすみました.汗ビッショリでした.目をかがやかせたひとりの少年がアンパンマンに近づきました.
「こんにちわ,マンガのおじさん.なまえをおしえてよ」
「私はアンパンマンだ」
「アンパンマン.きいたことないけど,テレビにはでているんでしょ」
「私はテレビにはでないよ」
「じゃ,マンガの本にでているんだね」
「いや,マンガの本にもでてない」
「そうかなあ.でも,ぼくのパパやママとはまるでちがう,マンガの中にでてくるひとみたいだがなあ」
「わたしのことはだれも知らないのさ.それよりきみにアンパンをあげようか」
アンパンマンは,ふくらんだおなかから,やきたてのアンパンをとりだしました.

「いらないよ.ぼくはおなかがいっぱいだし,それにアンパンより,ソフト・クリームのほうがいい,ソフト・クリームかキャンディーはないの?」
「私はアンパンだけしかもってない.さあ,もういかなくちゃ」

 
空を飛び,アンパンを運ぶ男.それ以上でもそれ以下でもないおじさんがアンパンマンなのです.でも・・・悲しいことに昭和44年の子ども達はアンパンじゃ喜ばないのです.


ですが,これではっきりしました.

空を飛び,まわりの人にアンパンを食べさせること.これが初代から3代目までずっとアンパンマンに受け継がれている最大の特徴なのです.


ただし,空を飛べると言っても3代目のように高速で颯爽ととべるわけではありません.

「アンパンマンはヒラリととびたちました.ほんとうはヒラリじゃなく,ヒョロリでした.一度おっこちそうになってから,やっととびあがり,えんよつにつきあたり,それから,クリーニングやさんのものほしにほしてあるせんたくものの下をどうにかくぐりぬくけて,ヨタヨタとんでいきました.少年は頭をふってつぶやきました.「カッコワリイ!あんなのだめだなあ」


今の世に初代がそんな姿を晒しながら空を飛んでいたら,たちまちtwitterでその様子を拡散されていたことでしょう.不審者として・・・

でも初代アンパンマンは,颯爽とは言えないながらも空を飛び,戦争で荒れ果てたある国の,食べものがなくて今にも飢え死にしそうな数人の子どもたちに焼きたてのアンパンを落とします(注:着地して手渡ししないという・・・).

「しっかりするんだ.死んじゃいけない.私は何度でもアンパンを運んでくるぞ」
そのとき,ドヒューンという音がしてアンパンの胸のあたりに,白いけむりがあがりました.飛行機とまちがえた高射砲陣地が火をふいたのです.

 

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  (『十二の真珠』p.66より)

アンパン投下直後,彼は高射砲で撃たれてしまいました.

敵機と間違えられたのか,それとも未確認飛行物体と判断されたのかはわかりません.


いずれにせよ,初代は安否不明となってしまいました.

アンパンマンはどうなったか,それはわかりません.しかし,決して死にはしないでしょう.世界じゅうのおなかのすいた子どもたちのために,アンパンマンは今もとびつづけているのです.

 
このあたりの話はTVで見たたことがありました.でも,てっきりアンパンマンが領空侵犯したため撃墜されたものと思い込んでました.一次資料にあたることは大切ですね.

 

やなせたかしさんは,あとがきにこう書いています(そのまま引用します).

アンパンマン

 大変無格好なスーパーマンの話,これも本当はもう少し長いストーリーにしたかったのです.これも自分ではわりあいに好きな話ですが,アンパンというのはもう今では子供の味覚の人気者ではないようですね.残念です.

 

初代アンパンマンは,実はスーパーマンだったのです.スーパーマンは,高射砲で撃たれたくらいで死んではいけません.

初代のラストはこう締めくくられています.

アンパンマンはどうなったか,それはわかりません.しかし,決して死にはしないでしょう.世界じゅうのおなかのすいた子どもたちのために,アンパンマンは今もとびつづけているのです.

 それゆけアンパンマン
 ころされたって死ぬものか
 おなかをすかして泣いている
 ひもじい子どもの友だちだ
 正義の味方アンパンマン

 

アンパンマンは正義の味方のスーパーマンなのです.初代が登場して今年で54年.その間,紆余曲折を経て代替わりがあったにせよ,アンパンマンは空を飛び,人びとにアンパンを食べさせるヒーローなのです.

 

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